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「原理」とクラニオ

クラニオセイクラル バイオダイナミクス(CSB)はボディーワークです。
CSBは一般的なボディワークのような解剖学的な形のある構造への働きかけというよりも、神経系や免疫系、循環器系など外から見えない生理学的な機能をサポートし、同時に「身体」という領域を超えたもっと大きなフィールドもワークの範疇に含みます。

CSBのセッションは、「身体が元々持っている、自らを癒そうとする能力」をサポートします。それは動的で積極的なものではなく、クライアントに寄り添い、軽く、静かなコンタクトによる静的なサポートです。セッションは、普段の生活では常に刺激に晒されている身体システムが、深く休息できるための環境を提供するところから始まります。

軽く、心地の良い、静止したコンタクトを続けていると、クライアントの身体システムは刺激への反応を手放し、緊張がほどけて、ゆっくりと静かに落ち着いていきます。落ち着くには10分、15分…もしかしたら、もう少し時間がかかるかもしれません。そして、身体システムがこの落ち着きに至った後で、初めて修復・回復プロセスが始まります。

「ただ触れているだけ」なので、このワークでは「意識」がとても重要なものとされます。
”健康に意識を向ける”、”健康を見つける”。これは、このワークの原理の1つです。

原理という言葉をグーグルで調べてみると、こんな説明が出てきます。
『多くの物事を成り立たせる、根本的な法則(規則)。認識や行為の根本をなす理論。』

CSBの原理とは、
CSBを成り立たせる、根本的な法則。
CSBの認識や行為の根本をなす理論。

「健康に意識を向ける」とは、身体が元々持っている能力に意識を向けるということ。身体は常に、自分自身を維持し、修復し、回復しようとしています。CSB施術者はその現象を認識し、それを手助けをします。その現象は、身体の特定の部位だけに作用するのではなく、身体全体に作用します。そのため、CSB施術者は、特定の部位に触れていても常に全身のつながり、その人を包む空間にも意識を広げて観察しています。

このような静的なワークでは、施術者の意識の状態がセッションの質に影響するため、CSBでは偏りのないニュートラルな意識を維持するように時間をかけて訓練します。そのニュートラルな意識で、身体に耳を傾け、どのようにバランスを取ろうとしているかを認識し、それをサポートします。

緊張し、硬くなり、停滞し、淀み、冷えていた組織は、身体の声に耳を傾けるインプットのない安全なコンタクトによって緊張を手放し、回復・修復のプロセスを始めます。そこでは春先の陽の光が当たった雪原のように、小さな流れから始まり、流れが空間を広げ、さらに新しい流れがやってきて、停滞や淀み、凍り付きが解消されていく。活力を取り戻し、柔らかさを取り戻し、十分な空間の中で動的なバランスを取り始める。

どんなに困難な時にも必ずある健康。
それを見つけるために、CSB施術者は健康に意識を向け続けます。
誰の中にもある生来のバランスへ向かう能力によって、不調和から調和の状態へシフトしていくプロセスを忍耐強く観察し続けます。そのため、特定の部位、特定の症状の改善という考え方にはならず、痛み・不調に注目するのではなく、そこから「どのように全体としての調和に向かっていくのか」という健康の表現に注意を払い続けます。

解剖学・生理学・発生学を学ぶだけでなく、意識を整えるだけでなく、何がCSBを成り立たせる根本的な法則か、何がCSBの認識や行為の根本をなす理論かを学び、それを実践できるようになるための基礎トレーニングの4年間は、決して長すぎるものではありません。

アンモナイト
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プロフィール

木村まや

Author:木村まや
1994年にクラニオセイクラル ワークに出会い、それからずっとこのワークの探求を続けています。

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