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締め切りとストレス

期日を決められた締め切りを抱えると、たいていの人はストレスを感じます。

「少々遅れても構わない」「少々遅刻しても平気」と思う人がいるかもしれませんが、それでも人生を左右すること(と本人が思い込んでいる)の締め切りともなると、かなり強い緊張状態が生じます。


それにしても、なぜ締め切りがそんなにストレスになるのでしょうか。

もしかしたら、今現在、生まれて活動中の私たちは全員、生死をかけた締め切りを体験してきたからかもしれません。


私たちの生命はどのように始まったのかをふり返ってみましょう。

卵子と精子が受精すると、その授精卵は待ったなしのプロセスに突入します。発生学の本を開くと、第1週に何が起こるか、続いて第2週、第3週というように、誕生するまでのプロセスを正確に表した一覧表が付いていたりします。専門家ともなると、その形や大きさだけで「受精から何日目」のように言い当てることができるくらいです。


最初の締め切りは子宮到着。

通常、卵巣から排出された卵子は卵管采(卵管の先端部)で吸い上げられ、そのまま卵管内の繊毛によって子宮へ向かう途中で精子と出会い受精し、卵割(細胞分裂)を始めます。卵管を通り抜けるまでの間、受精卵は透明帯(受精膜)で覆われた状態で全体のサイズは変わりません。しかし透明帯を脱ぎ捨てサイズアップし始める時期が決まっているため、それが起こる6~6.5日までに十分な広さを持った子宮へたどり着く必要があります。



無事に子宮にたどり着き、着床が完了する途中でも胚子の細胞分裂は進み、どの場所が将来何になるかなどの分化のプロセスも続きます。母体では胎盤が形成されつつ、胚子はまだ透明なミリ単位のサイズにもかかわらず着々と背骨の元ができ、中枢神経の元ができ、やがて心臓や顔、内臓ができ、手足が伸びてきて、だいたい受精後8週くらいで一通りヒトとしての原型が出来上がり、あとは成長の時期に入ります。




次の締め切りは誕生。

羊水に保護され、母体から栄養を貰い、酸素を貰い、老廃物の処理をしてもらう保護された居心地の良い世界は永遠ではありません。誕生では母体が陣痛を感じ始めると胎児は未知の世界へ押し出されていくことになります。もしかしたら医療介助が入るような事態になるかもしれません。正常分娩だったとしても、新しい世界へ出ていくには、産道は狭く頭は締め付けられ、へその緒からの酸素補給も危うい状態の過程を通過する必要があります。水の世界から空気の世界へ。母胎から酸素を受け取る受動の世界から自分で息をする能動の世界へ。


息を吸った瞬間、体の仕組みを一瞬で変えなければいけないほどの、生命を賭けた未知の世界への旅立ちです。たとえ覚えていなくても、生まれてきた誰もが経験したことです。



いつまでに、これをしなければいけない。

期限を決められる締め切りは、もしかしたら、

どんなに小さなことでも「生命にかかわる」と

勘違いしやすいのかもしれません。


誕生時の締め切りはノンストップ、

人間がコントロールできるものではありませんが

仕事の締め切り、試験の締め切りなどは

自分でコントロールが可能です。


締切を過剰なストレス原因としないためにも

スケジュールに余裕があるといいですね。






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プロフィール

木村まや

Author:木村まや
1994年にクラニオセイクラル ワークに出会い、それからずっとこのワークの探求を続けています。

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