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周囲を見渡す - リラックスの入り口

人の身体には、私たちが意識しなくてもうまく身体を制御してくれる機能-自律神経系があります。

自律神経系は、交感神経と副交感神経がうまくバランスを取ることで活動モードリラックスモードのリズムを作ります。日常生活では朝~日中の活動モードが夕方~夜のリラックスモードに切り替わることも自律神経系が司っています。

具体的には、活動モードでは目がパッチリ冴えて、活動に備えて酸素を取り込むために呼吸も活発になり、全身に血液を送るために心拍数も上がり血圧も上がります。筋肉を動かすための適度な緊張があり、その間は消化や排泄は控えられます。リラックスモードはその逆で、瞼が重くなり、呼吸は穏やかに、心拍数は下がり、筋肉は弛緩し、消化が促進され排泄も行なわれます。

自律神経系は、身体が危険を感じたときに、頭で考えて判断するのでは間に合わないような非常事態にも働きます。

いわゆる火事場の馬鹿力と呼ばれるパワーを生み出すのは、自律神経系の交感神経によるものです。危機を乗り越えるために生み出された大量のエネルギーを使っていたら、身体にとってそれは一過性のイベントであり、後々影響を残すようなことは起こりません。この機能は爬虫類の頃から培われてきた、私たちを生き延びさせる大切な役割を担っています。

ところが現代の人間社会では、目に見える一過性の緊急事態ではなく、ゆるやかで長期に渡って自律神経系のバランスを崩すような状況が多々あり、本人は気付かないまま身体が「緊急事態」として認識し反応していることがあります。危機に反応して体の中では過剰なエネルギーが作り続けられますが、そのエネルギーは使われずに日々が過ぎていきます。するとどうなるか。

一時的な危機のつもりで体のメンテナンスは後回しになっているため免疫力が落ちてきます。常にエネルギーを作り続けるため体は疲弊してきます。

気がついたら、音に過敏だったり、夜眠れなかったり、消化不良や便秘/下痢が続いたり。それが更に進むと、呼吸が浅い、冷や汗、動悸、頻脈、狭心痛、手足の振るえ、月経前の緊張、目の奥の痛み、めまい、ふらつき、異常な疲労感、日中の眠気、集中力の欠如、気持ちが攻撃的、物事の全体を捉えることが難しい…これらは交感神経が過活性になったときに起こる状態に陥っていることを示します。

一つ一つは小さなことでも、まとまって起こると、身体が思うようにならなくて、ますます「これは何?今って緊急事態?」のような悪循環に陥ってしまいがちです。病院で診察してもらっても原因不明と言われて困るときは、簡単なエクササイズを試すのも一案です。

 

世の中には活動モードからリラックスモードに切り替える方法が多々ありますが、簡単な方法の1つに「周囲を見渡す」があります。交感神経が過剰に働いているときは、何かに焦点を合わせて物を見がちで全体を見渡すことができなかったりします。その時の首は固まり、肩は強張り、前傾姿勢になって背中もバリバリに固くなっていたりします。この状態を解除するのが「周囲を見渡す」です。

最初は非常にゆっくりと周囲を見渡します。
釣られて首が動きます。首を動かす筋肉は肩や背中にもつながっているので、肩こりや背中の張りも緩和してきます。自分の後に何があるのか見るつもりで首を回してみましょう。右回り、左回り。それから、足元に何があるか頭を前に倒して見てみましょう。その時は首の後ろが伸びることを感じるかもしれません。次に、背筋を伸ばして天井を見渡すと顎から下、首~胸までの筋肉が伸びてきます。自然と胸が開きたっぷり息が入っていきます。首が緩めば頭への血流も良くなって、頭がスッキリしてきます。


このエクササイズは身体だけではなく、心にも効果があります。
周りを見渡すことで「自分がいるところに危険なものはないか?ここは安全か?」と脳が確認します。部屋に好みの色を使ったり、好きな写真を飾ったりしておくと「ここは安全で、私の好みの場所なのだ」と認識しやすくなり心が休まります。その場所で許されるなら、好きな音楽、好みのお香をたくのも良いでしょう。

大きなため息が出たら、それはリラックスの入り口のサインです。ストレッチをするときに、息を吐きながら~とガイドされたことはありませんか?私たちの身体は息を吸うと緊張し、息を吐くと弛緩するようにできています。試しに、今、大きく息を吐いてみると分かるでしょう。

 

夜眠れない。食欲がない。疲れ気味。イライラする。
そんなときは、ゆっくりと周囲を見渡してみましょう。はじめは少し速いスピードで周りを見てしまうかもしれません。なので、少なくとも2~3回。どこに何があるか、それらは何色か、それはどんな形をしているか、それはどんな素材でできているか。見渡すごとに詳細が分かってくるでしょう。何も危険はない。ただそれを確認するだけです。とても簡単なので、ぜひ一度お試しください。




クラニオセイクラル バイオダイナミクスの固有のトリートメント プラン(Inherent Treatment plan)とは、個々の後天的な歴史の修復ではなく、元々持っている力・生来の力が発揮できることをサポートするものです。


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プロフィール

木村まや

Author:木村まや
1994年にクラニオセイクラル ワークに出会い、それからずっとこのワークの探求を続けています。

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