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ダイアログ(対話)

クラニオセイクラル バイオダイナミクスのトレーニング*の中では、身体システムに提案する方法を学びます。バイオメカニックのアプローチのときには、"プラクティショナーが" 牽引していた場面で「ここで伸びていくことはできますか?」、スティルネスへの誘導のために後頭骨に圧を加えるテクニックの代わりに「ここで待つことができますか?」など、心の中で問いかけます(身体システムがその提案に応えるとは限りませんが…)。

* ここで言うトレーニングとは、ICSBが提供する基礎セミナーのことです。

 

この身体システムへの問いかけで面白い体験があります。

初回のセッションでは、身体全体のリズムが一体感を失っていると感じることが多いです。様々な理由で全体性を見失っているとも言えるでしょう。身体システムのリズムが混沌としていると全体が ノイズ によって不透明な感じがします。

セッションを重ねていくと少しずつリズムに統一感が生まれ、初回は「磨りガラスを通して身体を見ている」ような感覚が、回数を重ねるごとにだんだんと透明になり、身体システムにどんなことが起こっているのか?が分かりやすくなってきます。そういう段階になると、不自然に凝り固まっていたり、周囲から浮き上がっていたりする箇所が見えて(?)きます。どこが動かないのか、凍り付いているのか、大渦になっているのか。

他の場所は少しずつでも変化しているのに、どうしてこの場所は頑なに変化を拒むのだろう。そう思えるくらい「何かの意志が働いている」ように感じることがあります。傾いているなら傾いているなりの、捻れているなら捻れているなりの理由がある。そう思いながら触れているので、変化を拒む場所にも何か理由があるのだろう。そう思いながら、ある時、その場所に触れながら心の中で問いかけました。

「あなたは ここで何をしているんですか?」

 

 

トレーニングで学ぶのは「提案」や「招待」なので、身体システムの返事はyes またはno。スティルネスに入る/入らない、組織が伸びる/伸びないという反応が問いかけに対する返事です。ですから、この問いかけをしたときは、起こっていることを疑問に思い、独り言のようにつぶやいたくらいの感じでした。それにもかかわらず返事があったときには、正直、ものすごく驚きました。驚くと同時に「私が勝手に返事を創作した」と思いました。

問いへの返事は「守っている」でした。

自分の創作した回答だとしても、何から守っているのか、何を守っているのか、いつから守っているのか、次から次へと疑問が湧いてきました。そしてもう一度問いかけました。「今も守っている必要はありますか?」

すると、しばらくシーンとした後に、その場所にブルブルと細かい振動が起こり、さらに驚きました。その場所は、しばらくの間震えていました。そして震えが引いてみると「凍りつき」が無くなっていました。あれは何だったんでしょうか。

セッションが終わって、「凍りつき」がなくなったことを説明するときに、半信半疑ながら起こったことを話しました。すると、ご本人は「思い当たる」とのことで、そのお話しをして下さいました。本当かどうかわかりませんが、お話しの内容と起こったことはリンクしていてお互いに納得がいくものでした。いずれにせよ、不自然な凝り固まりは解消していたのでした。

良いことが起こったので、まったく別のセッションでの「セッションを重ねても身動きが取れないまま」という状況で、また問いかけをしてみました。その時の返事は「支えている」でした。「今もここを支える必要はありますか」と尋ねると、その時はシーンとなった後で、突然、凍りついて身動きが取れないような感覚の場所が緩みました。手の中にあった「形」が霧散したような感じでした。

その後も何度か問いかけをしましたが、どこに問いかけていいか分からない位の不透明さのときは返事はありません。また、十分に透明なときでも問いかけが適切でないと返事もないし、何も起こりません。しかし、必要な場面で、適切な問いかけができたときには、ただ見守っているだけでは延々と何も変わらない状態に、何らかの進展が見られることが分かってきています。

「何も起こらない」も含めて、問いかけに答えてくれる身体システム、興味深いです。


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プロフィール

木村まや

Author:木村まや
1994年にクラニオセイクラル ワークに出会い、それからずっとこのワークの探求を続けています。

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