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蝶形後頭軟骨結合(SBS:Sphenobasilar Synchondrosis)

クラニオセイクラル バイオダイナミクスの基礎トレーニングも後半になると、体の深部の構造に対するアプローチを学び始めます。たとえば脳脊髄液の排出に関わる頭蓋内の静脈洞、迷走神経が通る頚静脈孔、後頭骨-環椎-軸椎を含む後頭三構造、顎関節などなど。

そのうちの代表的なものに、蝶形後頭軟骨結合と呼ばれる頭蓋のまさに中心部の構造があります。どれくらい中心かと言うと…。

蝶形後頭軟骨結合(下から)      蝶形後頭軟骨結合(横から)      蝶形後頭軟骨結合(上から)

(左から、頭蓋を下から見た図、横から見た図、上から見た図)

赤丸を付けたところが蝶形骨と後頭骨の関節部になり、蝶形後頭軟骨結合と呼ばれます。蝶形骨というのは右端の図の黄色く示された骨で、頭の中を左右に羽を伸ばし、下方に脚を伸ばした蝶のような形をしています。蝶形骨は頭蓋内の様々な構造と接しているため、いろいろな影響を受けやすい&いろいろな影響を与えやすい骨です。

もともと医学会では頭蓋の骨は大人になると動くことはない、とされています。その概念からいけば、蝶形骨-後頭骨の結合部も動きませんが、バイオメカニックであれバイオダイナミクスであれ、クラニオセイクラルのワークをする人たちにとってこの構造は、位置的にも「もし本当に固まっていたら、まして歪んでいたり捻じれていたら、何らかの不調、時には深刻な状況が起こるであろう」と推測できる場所になっています。

そのため、固まったイメージの"結合"ではなく、Spheno_Basilar Joint/蝶形後頭"関節"(SBJ) という名称を与えている場合もあります。

蝶形骨は、頭蓋の多くの骨と接合し、脳を支える頭蓋内の膜、12対ある脳神経の多くと直接・間接的にかかわり、内分泌を司る脳下垂体の受け皿でもあります。理想的な蝶形骨は、左右・前後・上下方向に対して安定しつつ柔軟で、脳下垂体を背中に乗せたゆりかごのように前後にスィングします。

しかし、誕生時や事故、その他さまざまな理由で頭蓋に大きな外力が加わると、中心に位置する蝶形骨は、骨自体が圧縮されたり、後頭骨との関節部分を支点として、傾いたり、ねじれたり、ずれたりして、ゆりかごの動きがうまくできなくなります。

頭の中心で、本来動くはずのものが動けない。
それを解消するためのアプローチがSBS(SBJ)ワークと呼ばれます。




再びトレーニング話:

何かに意識を向けること、時には一点に意識を集中することは、クラニオとは関係なく日常でもやっていることです。そこで意識を広げること、それを維持することが、プラクティショナーとしての最初の学びであり、チャレンジになります。

意識を広げてセッションができるようになると、これが実に気持ちがいい。ふんわりとした柔らかさで全身が包まれるような至福の感覚だったりします。プラクティショナーもクライアントも、これだけで十分と満足される人もいます。しかし、これでは蝶形後頭軟骨結合のような特定の構造へのアプローチができません。なぜなら、広げただけの意識状態では "構造を感じる" ことが出来ないからです。

それではと、小さな構造に眼を向けると、自然と意識が集中し視野が狭くなってしまいますが、クラニオセイクラル バイオダイナミクスのアプローチでは、小さな構造を扱うときでも、意識は広く保つことが求められます。

トレーニング初期は、浅部の構造、大きな構造に触れながら意識を広げ、全体性につながる練習を繰り返します。狭い街中で足元ばかり見ている生活から離れて、海へ行って遠く広がる水平線を眺めるような感覚でしょうか。そしてトレーニングが進んで頭蓋内の局所的な小さな構造にアプローチするには、自分の足元と広がる水平線を同時に視野に入れるような練習が必要になります。

広げるだけでなく、集中するでもない、中庸の意識

意識が狭くなるとクライアントに圧迫感を与え、意識を広げすぎると構造の認識が難しくなる。中庸の意識状態を保つのは、トレーニングの中で最も難関と言えるかもしれません。この段階で悩まないトレーニング受講者はいません。しかし、これができるようになると、もっと深い組織や構造 (例えば脳幹や脳室) へのアプローチが可能になります。

自分自身の意識状態を認識し安定させること、安定した状態を維持することは、クラニオセイクラル バイオダイナミクスのスキルの重要な部分です。蝶形後頭軟骨結合へのアプローチは、トレーニーたちにとって大いなるチャレンジであり、乗り越える価値のある壁なのです。


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プロフィール

木村まや

Author:木村まや
1994年にクラニオセイクラル ワークに出会い、それからずっとこのワークの探求を続けています。

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